スチーム・リザードと空パンチ少女

執筆時間:15分 テーマ「トカゲの壁」盛り込み指定ワード「もみあげ」 ※未完作品
時間内に書ききれなかったあー!
テーマが出てからぜーんぶを考えるんじゃなくて、もともと自分が作り済みのキャラと世界観で書くって決めておいて、ストーリーだけ15分でまとめられないかなあ、と、過去に出した同人誌のキャラと世界観をベースにして挑戦したのですが、ちょっと足りなかった!
焦りすぎて指定ワード盛り込めずorz このトカゲのバケモノはまたちゃんと書くことにします。

「ほら……わざと古ぼけた、昔の家が並んでる観光地とか、あるだろう。ああいう家の壁によく張り付いているの、なんだっけ」
「ヤモリですね」
「ああ、そうだ。そうそう。イモリ」
「いや、ヤモリですってば」
「わかってる。違う。あたしが言いたいのは、あたしはヤモリよりイモリの方が、腹が赤くなっておしゃれだから好きだ。ってこと」
 相変わらずコミュニケーションの取れない先輩だった。会話が単に下手くそ、という意味ではない。
「それ、今、話す必要あります?」
 トカゲの城壁がそびえ立ち、煙をもくもくと吐いて、城壁の砲台はぼくらに向かって冷たく光っている。
「うーん。だって。こんなトカゲ、かわいくないんだもん」
 先輩は棒付きキャンディをつまらなさそうに咥えながら、またキャッチボールになってない言葉を返してきた。

 トカゲが城になるなんてどうかしてるが、どうかしてることをどうにかしてしまうのが、ぼくらの誇りの近未来型『蒸気機関』というものだ。『蒸気機関』は家電製品から強力な兵器まで、なんにだって応用できてしまう。
 で、強力な兵器として使えるレベルのものを、愚かなテロリストが持ち出した挙句、この間の戦争でトップの連中が『空席』状態になってしまったことで……下っ端の連中が使い方もわからないのに、使ったり、売りさばいたり、誰かが買っておかしな使い方をしたり。
 どうも、そのおかしな使い方をした結果が、これらしい。
 『蒸気機関』なんていうけど……あれはちょっとした魔法道具みたいなもので、本当にただの上記の力で動いているわけではない。野生のトカゲと『蒸気機関』が悪い融合の仕方をしたらしい、トカゲの巣か群か……取り込まれて、ただただ、自分たちのテリトリーに侵入してきたものを排除しようとしているらしい。
 ぼくらの任務は、アレの鎮静化と、『蒸気機関』の回収、というわけだ。
「あのさあ」
 先輩は棒付きキャンディのキャンディの部分をバリバリ噛み砕きながらしゃべる。
「あも、ほかけはけと」
「すみません、キャンディの欠片飛び散らせるのやめてもらえます?」
「うい。……むん」
 キャンディが喉に呑み込まれて行ったらしい。喉がチクチクしないのだろうか。
「あたし、あのトカゲの皮、ほしいな」
「悪趣味だな!」
「うるせー新人。あれで、あたしの皮靴、作るんだ」
 とんでもないことを言っているしやっぱり悪趣味なのだが、この先輩が強気に出るのはわけがある。
「はいよ」
 ……先輩が空中をなぐるだけで、トカゲの城は消えた。